e60fuenfer1さん
【補足のご質問に】
その通りです。切り換えがわかりやすいため,VTECが好きな方は多いと思います。
●可変動弁の簡単な説明
エンジンのバルブのリフト量や開/閉のタイミングを調節できる技術を「可変動弁」といいます。この技術は大きく分けて,下記の5種類があります。添付図をご覧ください(横軸はクランク角,縦軸はバルブリフト量を意味しています)。
(1) 可変バルブ・タイミング … 主として2段階で,吸入バルブのタイミングを調節します
(2) 連続可変バルブ・タイミング … タイミングを連続的に変えます ~ 現在,多くのエンジンがこの方式を採用しています
(3) 可変バルブ作動角 … 作動角の幅を調整する方式です
(4) 可変バルブ・リフト … 2段階あるいは3段階でリフト量を調整します。これがVTECの基本的な技術で,三菱とホンダのエンジンの多く見られます
(5) 連続可変バルブ・リフト … バルブをほぼ閉じた状態から全開まで連続的に調節する方式です。2001年,BMWが世界で始めて実現しました
ここで、iは、シュリンクラップマシンを買うことができますか?
上記の(5)は,機械的な調整機構(中間カム)を使いますが,最近,FIATが「マルチ・エア」と呼ぶ技術を投入しました。これは油圧でリフト量とタイミングを調節可能です。
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可変バルブ制御の歴史について少しまとめておきましょう。
★可変バルブタイミング(VVT)の最初期
1982年 アルファロメオ 直4 2.0Lエンジンに適用。斜めスプラインをヘリカルギアで駆動する方式
1986年 日産 VG30DEに採用 (NVCSという名称)
1991年 トヨタ カローラ用1.6L 4A-GEエンジンに適用。名称は「VVT」とし,これが一般的な名称になる(宅急便のように)
1995年 トヨタ 連続可変バルブタイミング方式(VVT-i)
同年 BMW M3用3.0Lエンジンに連続可変バルブタイミングを適用
1996年 BMW 吸排気の両方に適用 (従来は吸気側のみだった)
★可変バルブタイミング・リフト(VVL)の最初期
1988年 ホンダ 高速用と低速用の2種類のカムでリフト量を切り換え(VTEC)
★可変バルブ作動角(VET)の最初期
1996年 ローバー 1.8L Kエンジンに採用(VVC)。バルブが開いている作動角を広げたり
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★連続可変バルブリフト制御
2001年 BMW 連続可変バルブリフトを2.0Lエンジンに採用(バルブトロニック)
2007年 トヨタ 別機構で追随(バルブマチック)
同年 日産 別機構で追随(VVEL ヴィーヴェル)
●ホンダ VTECの簡単な歴史
1989年 インテグラに低回転/高回転でバルブリフト量を切り換える方式を搭載
1991年 シビックに2つの吸入バルブのうち,低回転時,1個を閉じるVTEC-Eを搭載
1995年 シビックに上記のバルブリフト量を2段階で切り換える方式+吸気バルブを1個閉じる方式を搭載(3ステージVTEC)
2000年 バルブリフト量の2段階可変+吸入バルブのタイミング可変(i-VTEC)
2003年 V6エンジンの片バンクの吸入・排気バルブを閉じる(VCM)
→ i-VTECは,上記の(2)と(4)をあわせて技術といえます
●最新の可変動弁とは?
最新の可変動弁は,上記(2)と(5)をあわせたものです。商品名では下記の通りです。
・BMW バルブトロニック
・トヨタ バルブマチック
・日産 VVEL
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●ホンダの(5)連続可変バルブ・リフト技術は?
1990年代には,ホンダもこの技術を発表していました。方式は油圧を使うタイプでした。しかしその後,BMWが発売し,07年に,トヨタ,日産が追随したのに,ホンダは投入していません。
VTECのファンの片には,大変,恐縮いたしますが,ホンダの可変動弁技術は,世界の先端から数年遅れているといえます。
●どうして遅れてしまったか?
油圧方式は,中間カムを使う方式より,いろいろなバルブリフト制御ができます。しかしかなり大きな油圧発生装置が必要であり,そこをどうやってFIATが解決したのか,たいへん興味深いです。
一方,ホンダは油圧にこだわりすぎたのか,トヨタ,日産が発� �してから3年たちますが,まだ発表できていません。おそらくBMWやトヨタより優れた技術ではないと発表できない「社内の雰囲気」があるのでしょう。つまり「良いことより,他社と異なることに価値がある」という社風です。
●どうして「連続可変バルブ・リフト」が良いのか?
ガソリンエンジンは,吸入空気量を調整することで,出力(馬力)を設定します。このため,吸入管の途中にスロットル・バルブという弁が付いています。
街乗りくらいの負荷の低い走行条件では,このバルブはほぼ閉じています。このためスロットル・バルブから燃焼室の間は負圧になります。この負圧に打ち勝って,吸入空気を吸うため,エンジンのピストンは大きな仕事をする必要があります。この損失を「ポンピング・ロス」といいます。最大で出力の30~40%にもなります。
バルブのリフト量をほぼゼロから最大まで連続的に可変できれば,スロットル・バルブがなくても,吸入空気量の調整が可能です。これにより,ポンピング・ロスは大幅に減少し,実用域での燃費が改善します。
ご参考になれば幸いです。
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